- 2020年09月19日
- イベント報告
【報告】セイヨウオオマルハナバチ講習会
9月13日土曜日、サロベツ湿原センターでセイヨウオオマルハナバチの講習会が開催されました。セイヨウオオマルハナバチはトマトの受粉用に輸入された外来種のハチで、脱走したものが北海道各地で広がり、花粉をつけない盗蜜行動や在来種への影響が懸念されているハチです。サロベツ原野でも発見されています。
~セイヨウオオマルハナバチ講習会レクチャー~
まずは、宗谷総合振興局環境生活課の中島さんからセイヨウオオマルハナバチの問題として在来マルハナバチの仲間に与える影響や湿原の花々との 関係性についてレクチャーを受けました。舌の短いセイヨウオオマルハナバチが蜜を集めるために共生関係のない花の花弁に穴をあけて花粉をつけずに蜜を集める盗蜜行動が興味深かったです。
次にサロベツ湿原センタースタッフの川﨑さんより2012年に木道下で確認されたセイヨウオオマルハナバチの駆除について話を伺いました。ハチが木道下に入っていくのを報告されたことから巣の存在がわかったということでした。ハチの巣というと目線より上にあるものを思い浮かべていたのですが、地上にも巣を作るというのはなんとも不思議でした。
宗谷総合振興局獣医師の西野さんから外来種の中でもアライグマについて、見分け方や食害について伺いました。関東などでも問題となっていますが、北海道でも増えているんですね。最後に紹介された動画では牛舎の中で牛の飼料に混ざっているデントコーンを食べに集まってきた何匹ものアライグマの食事風景が…。外来種を持ちこむことは人にとっても在来種にとっても、そして外来種にとっても大変なことであると思いました。
こちらはレクチャー中に回ってきた、生きたセイヨウオオマルハナバチの入った容器です。
そしてこちらは標本です。ふわふわとした体と白いお尻がやはり印象的です。また性別と役割によって体サイズが違うこともよくわかります。
~サロベツ湿原でセイヨウオオマルハナバチ探し~
次に湿原で実際にセイヨウオオマルハナバチを探すことに。虫取り網に洗濯バサミをつけて出発しました。(洗濯バサミをつけている理由はハチが捕まった時に上の方に向かう傾向を利用して洗濯バサミで網をもちあげ、網の先に誘導し刺されないようにするためです。
※通常は木道上での動植物の採取は禁止されています。今回は特別に許可を得て実施しています。
この日は花のシーズンも終盤に差し掛かり、風が強い曇り空の天気でした。
果たしてセイヨウオオマルハナバチを発見できるでしょうか・・・・?
しばらく歩き、ミヤマアキノキリンソウなど咲いている花を見ては何かいないか確認する作業が続きました。なかなかあの丸まるとしたフォルムに会うことがありません。
やがて「マルハナバチが見つかった!」との声が。近づいてみますとふわふわとした丸いフォルムの虫がミヤマアキノキリンソウにとまっていました。今回発見されたのは、セイヨウオオマルハナバチではなく、ハイイロマルハナバチという日本国内では北海道でのみ確認されている種でした。
そして、この日は目的のセイヨウオオマルハナバチを見つけることなく終わることとなりました(いないに越したことはないので、良かったですが…)
最後に全員で記念撮影を行いました。セイヨウオオマルハナバチは見つかりませんでしたが、外来種問題についてまた湿原の生物多様性について考えさせられ、大変勉強になりました。参加してくださった皆様、ありがとうございました!
(文責:インターン・長田)